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- どうして版画がいいの?
- 現代の建物は室内が明るく、壁も白を基調としているので、重厚な額縁の油絵より、シャープでライトなリトグラフが似合います。とくに、日本の洋間や玄関、また近代的なオフィスに適しているといえます。また、作者の心情や思想などが個性的に表現されている油絵と違い、インテリアアートとして作られているものが主であるため、親しみやすく、見る人に安らぎや楽しさを与えてくれます。
- 版画って、何?
- 版画とは、板や金属板、石板などに絵を彫刻したり薬品で腐食させたりしたものに、絵の具やインキなどを塗って紙に転写したものをいいます。
- 木を使った木版画、銅板を使った銅版画、石板を使ったリトグラフなどがあります。日本の浮世絵や浮世草子は木版画です。
- リトグラフって、何?
- リトグラフとは石版画のことです。リトグラフの「リト」とはギリシア語で「石」、「グラフ」とは「図版」です。水と油が反発しあうことを応用したもので、大理石や石灰石で作った石版にクレヨンなど油性の筆記具で絵を描き、全体にアラビアゴムなどを塗って親油性と親水性の部分を作り、油性のインキを塗って、紙を押し当てて絵柄を写し取ります。1798年にドイツのA.ゼネフェルダーによって発明されました。刻んだり彫ったりする必要がないため、19世紀に入って、ロートレック、ドガ、ドラクロア、ドーミエなど多くの画家がこの手法を用い、世界中に広まりました。現在では、石よりも扱いやすいアルミ(アルミ版)が多く用いられています。
- エッチングとは、どうちがうの?
- エッチングは銅版画のひとつで、凹部にインキを入れて、その上に紙を押し当てて刷ります。銅版に防食ニスやロウを塗ったものに鉄筆で描き、硝酸液につけて鉄筆で傷つけた箇所を腐食させます。インキをその腐食した箇所に流し、紙を押し当てて絵柄を写します。ペン画に近い表現ができ、堅い線が特徴です。
- アクアチントとエッチングは、どう違うの?
- エッチングが線の表現なら、アクアチントは面の表現といえます。銅版画のひとつで、銅版に松ヤニなど樹脂の粉を定着させたものに、不必要な部分をニスなどで防食して腐食液につけると版面に梨地の斑点ができます。腐食時間の差や粉の密度で濃淡の変化をつけることができます。
- シルクスクリーンとは、どうちがうの?
- シルクスクリーンとは、謄写版と同じ孔版の一種で、枠で張った絹布やナイロンにインキを塗り、布の下に敷いた紙にインキを押し出す手法です。紙に絵柄を切り抜いて布に貼ったり、布に塗布した感光液に写真を網状にして焼き付けるなどの技法があります。インキが盛り上がるため重厚な感じになり、曲面や布などに刷ることができます。60年代にアンディ・ウォーホルなどポップアーティストによって発展しました。セリグラフともいいます。
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- どんな絵を飾ればいいの?
- 気に入った絵を飾るのが第一です。気に入った絵がたくさんあるなら、その次に、部屋にあった絵を選びましょう。壁の色、カーテンの色、家具の形や色、大きさなどと違和感がないものがいいでしょう。カーテンや壁の色が濃いときは、絵の中にその色が入っているものを選ぶと統一感があります。また、書斎や寝室には「落ち着いた色彩」のもの。リビングなど人が集まる部屋は「明るい」ものや「華やか」な傾向のものがいいでしょう。
- どのくらいの大きさがいいの?
- 絵の大きさは、壁のスペースと家具とのバランス、部屋の広さで決めます。また、リビングなど絵が主役になるところは大きめに、キッチンや廊下などでは小さめのものがいいでしょう。壁が広いのに小さな絵を飾ると貧弱に見えますが、複数飾ることで、センスよく飾ることができます。
- リトグラフとエッチング、シルクスクリーン、どれがいいの?
- 気に入った絵を飾ることが一番で、技法は重要ではありません。絵の価値も技法によって変わることはありません。イメージ的には、リトグラフは柔らかい感じの作品が多く、エッチングは堅く渋いモノトーン、シルクスクリーンはポップな作品が多いようです。
- 偽物と本物とはどうやって見わけるの?
- (1)作者名を偽った贋作は専門家でないと見分けることはできないでしょう。作家によっては、カタログ・レゾネという個々の作家の作品総目録があり、そこにはその作家の全作品の図版やデータが記載されているので参考になります。
- (2)原画を複写した印刷物を版画と偽って販売しているものがあります。作品を撮影して「オフセット印刷」(雑誌やチラシの印刷方法)で刷ったものはルーペなどでよく見ると網点があるため見分けることができます。パソコンのインクジェットプリンターなどを使って刷ったものなどは、見る目を養うことが必要です。
- (3)また、数千枚刷れる「オフセット印刷」や「コピー」あるいはパソコンの「プリンター」などで刷ったものを、それとは明記せず、「オリジナルリトグラフ」だといって売っていることがあります。「オフセット印刷」を使って作品を作る作家もいるので、一概に印刷物イコール偽物とはいうことはできません。「オフセット印刷」の場合は、網点があるのでわかります。作家のサインや限定番号を確認してもいいでしょう。
- エスタンプって、何?
- エスタンプとはフランス語で「版画」のことですが、日本では「複製版画」のことを言っています。作家が版画にすることを意図しないで作った作品(油彩画、水彩画、日本画など)を複写して、第三者が版画にしたものです。版画作家ではない、日本の著名な作家の版画は、作家に了解を得て作った、このエスタンプが多く、作家のサインも入っています。東山魁夷や加山又造、平山郁夫、奥村土牛などの作品は人気が高く、高額で取り引きされています。オリジナルリトグラフやシルクスクリーンなどで作っているため、オリジナルの版画となかなか区別がつきませんが、余白に複製を示す印刷や空押しがついていたり、原画に施したサインをそのまま刷ってあるものもあります。
- オリジナル版画って、何?
- 日本ではエスタンプに対して、版画として制作された作品をオリジナル版画と呼んでいます。日本を含め世界的に、オリジナル版画とは、作家が下絵から版作り、刷りまですべて行った作品のほか、作家が下絵と版作りを行い専門の技術者が刷りを行ったもの、あるいは作家が下絵を描き専門の技術者が刷りと版作りを行ったものが、オリジナル作品とされています。また国際造形芸術連盟(IAA)では、作家のサインと限定番号(刷り枚数と作品の番号。エディションナンバーとも)があることが必要だとしています。
- 号ってセンチとどう違うの?
- 日本の絵画の寸法は「号」を使って表しますが、版画はセンチを基本にして表しています。「号」の最小は0号で、数字が大きくなると大きなサイズになっていきます。また、縦横の比率の違いで、F、P、Mの3種類があります。Fは人物(Figure)、Pは風景(Paysage)、Mは海の風景(Marin)と題材の違いで使い分けるようになっていますが、いまは、ほとんど題材で選ぶことはありません。10号は5号の倍というように比例しておらず、8号以上は番号が飛んでいます。10号はFで53.0cm×45.5cm、Pで53.0cm×40.9cm、Mで53.0cm×33.3cm。目安としては、F3号がA4、F4号がB4(週刊誌の倍)、F10号が新聞1ページの大きさです。
- 絵は高くなるの?
- 版画を投機の対象として購入するのはお勧めしません。版画は基本的にインテリアアートとして、100枚とか200枚が刷られているからです。東山魁夷のような、なかには高額で取り引きされる作品もありますが、それは希で、むしろ自分の気に入った絵を選んだ方がいいでしょう。
- カタログ・レゾネって何?
- 作家の作品総目録のことです。作家の全作品の写真や制作年代、限定部数、紙質、サインの有無、寸法などのデータが記載されていて、貴重な資料となっています。カタログ・レゾネが発行されている作家は、一流作家だといえます。
- 限定番号とは?
- 版画の左下にある、作品の刷り枚数と通し番号のこと。エディションナンバーともいいます。「10/120」とか書かれ、分母が総部数で、分子が作品固有の番号です。この場合、120枚刷られたうちの10番目に記入された作品となります。その他、「E.A」や「A.P」とあるのは、作家保存用の意味で、関係者などへの贈呈に使われます。また「H.C」とは、非売品という意味で、試作品などに使われています。


